2026年10月15日木曜日

英語で,以上,以下を間違えやすい:NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」

英語で,以上,以下を間違えやすい:NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」

NHKラジオ "高校生からはじめる「現代英語」" 2019 年 2 月 12 日放送の話題である。

そこで,以上・以下,超(より多い)・未満を英語できちんと区別せよ,という。内容が語られた。

私も,以前,生物系の論文で指摘したことがある。

井口豊 (1994)
なぜ"more than"を誤訳するのか?
生物科学,46(3): 159-163. DOI: 10.11501/11201516

more や less を使った比較で,正確な翻訳が出来ていないのである。要するに,不等号に等号を含むのか(≧),含まないのか(>),という問題である。

私が取り上げた例では,有名な出版社の大学入試問題解説でも間違えているものがあった。

数学や理科でなく,「英語」の問題だから, 1 以上でも, 1 より多い(大きい)でも,本質的な問題ではない,とも言える。しかしそれでも,納得できないような例もあった。

NHKラジオ "高校生からはじめる「現代英語」" 2019 年 2 月 12 日放送分を聞いていて,以上・以下,超(より多い)・未満を英語できちんと区別せよ,との指摘が為されていて,さすが,この番組だなと思った。

「社会・経済・科学技術・文化など多岐にわたるニュース」を扱う番組だったから,当然と言えば,当然だろう。

最近のNHKラジオ語学番組でも,"ニュースで学ぶ「現代英語」" 2026 年 10月 12 日放送90歳のボディービルチャンピオンの中で,以下のように同様な説明をしていた。

more than や over は「それより多い、超える」なので、「以上」ではありません。ただし日常的なことや大きな数字については、 more than や over があいまいに使われることがあります。

ちなみに,分散分析(ANOVA)は, 2 群以上の平均の差の検定である。

ANOVA is used to compare the means of more than one group.

これが 2 群の場合を t 検定と言う。これを誤解して, 2 群に適用されるのが t 検定, 3 群以上は分散分析,と説明する人がいる(大学教員でも)ので,注意しよう。

たかがラジオ講座と侮ってはいけない。聞き流しているだけでも,役立つ情報を得られることがある。実践ビジネス英語で聞いた統計学的な話題も,別ページに解説した。

これも,大学生でさえ(理系でも?),理解していない人が多そうな問題であった。

なお,四分位数に関しては,以下のページも参照してほしい。

2026年9月1日火曜日

アキアカネ,諏訪湖へ下る:高ボッチの蝶,活断層,草競馬の話題も含めて

アキアカネ,諏訪湖へ下る:高ボッチの蝶,活断層,草競馬の話題も含めて

次の写真は,2014 年 10 月 24 日 16 時,私の研究所近くで見つけたアキアカネ Sympetrum frequens のオスであり。見事な赤トンボである。

毎年,秋になると,岡谷市上空を飛ぶアキアカネの群が見られる。少なくともその一部は,夏に高ボッチ山(標高 1665 m,下の地図を参照)付近で過ごし,秋になると諏訪湖方面へ向けて下りてくる個体群のようである。高ボッチ山頂でのマーキング,その後,諏訪湖周辺での捕獲結果から判明している。ただし,これは私の研究所の予備調査段階での話であり,詳細かつ十分なデータは未だ得られていない。

高ボッチ山は八ヶ岳中信高原国定公園に属し,県内有数の夜景の名所としても知られる。毎年 8 月には草競馬大会が開催されていたが, 2024 年に廃止が決まった(中日新聞 2024 年 6 月 7日)。

地質学的には,国内第一級の活断層と称される牛伏寺断層を南に延長すると高ボッチ山の西麓付近に至る。

昆虫学的には,高ボッチ山は,アキアカネ生息地としてよりも,チョウの一種ヒメヒカゲ Coenonympha oedippus の生息地として有名な場所である。ただし,高ボッチを含む岡谷市・塩尻市のヒメヒカゲは,地域個体群として,長野県希少野生動植物保護条例により,希少野生動植物に指定されている。

岡谷市の塩嶺地域の活断層に関しては,以下のページ参照。

トンボ関連のページ

2026年7月12日日曜日

生物医学統計ガイドライン SAMPL の平均(標準偏差)問題

生物医学統計ガイドライン SAMPL の平均(標準偏差)問題

生物医学統計の国際的ガイドラインとして有名な SAMPL (Statistical Analyses and Methods in the Published Literature) がある。

その中で,平均と標準偏差を記載するときに,平均 ± 標準偏差 あるいは mean ± sd という表記をやめて,平均(標準偏差)あるいは mean (SD) と書くことが推奨されている。それに関しては,私の共著でも指摘した()。

しかし,相変わらず ± を使った表記をする執筆者が多いようだ。そもそも SAMPL ガイドラインを知らない研究者や学生・院生も多いのではないか?そのことは別のサイトに詳述した。

過去のブログ
http://laboratoryofbiology.blogspot.jp/2016/06/mean-sd.html
この記事は,上記サイトに移転した。

参考文献

倉持龍彦・井口豊 (2020)
“R言語”が導く統計解析の世界. 血液浄化とそれを支える基盤技術. 織田成人・酒井清孝(編),
東京医学社: 167-182.

2026年7月4日土曜日

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「第8回信州ホタル保護連絡会」はウェブサイト移転

第8回信州ホタル保護連絡会に関する記述(https://laboratoryofbiology.blogspot.com/2012/08/blog-post_28.html)は,生物科学研究所のサイトに移転しました。

第8回信州ホタル保護連絡会:松本市の有害外来種巻貝コモチカワツボ

2025年12月9日火曜日

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「目切遺跡の地上絵」はウェブサイト移転

目切遺跡の地上絵に関する記述は,生物科学研究所のサイトに移転しました。

目切遺跡(長野県岡谷市,縄文時代遺跡)の地上絵?

2025年2月16日日曜日

Intrasexual behavior in beetles カブトムシ雌の同性間配偶行動

Intrasexual behavior in beetles カブトムシ雌の同性間配偶行動

以下の生物科学研究所の研究解説ページも参照。

カブトムシ雌の闘争行動と同性間マウンティング
DOI: 10.5281/zenodo.14281281

次の論文の解説である。

Iguchi Y. (2010)
Intrasexual fighting and mounting by females of the horned beetle Trypoxylus dichotomus (Coleoptera: Scarabaeidae)
European Journal of Entomology, 107: 61-64.

いわゆる,同性間配偶行動 (intrasexual or same-sex mating behavior) である。


Fig. 1. Intrasexual or same-sex mating behavior in female beetles

雄の同性間マウンティングについては,雄が相手を雌と間違えるということもあるだろう。しかしながら,雌の同性間マウンティングについては,その理由が良く分かっていない。

今回の研究結果から,雌の同性間マウンティングは,小さな雌が,大きな雌との闘争を避け,エサを得るための代替的手段である可能性を示唆している。

同性間の行動研究の進展をまとめたレビュー論文としては,以下のものが注目される。

Bailey N. and Zuk M. (2009)
Same-sex sexual behavior and evolution
Trends in Ecology and Evolution 24: 439-446.

この中で,動物における "Homosexual" の定義が以下のように記されている。

Homosexual: in animals, this has been used to refer to same-sex behavior that is not sexual in character.

Bailey 氏から頂いたメールによると,雌が代替的手段 (alternative tactics) を採ることが,ますます明らかになりつつある,とのことである。

また,甲虫類の雌による同性間マウンティングに関しては,以下の論文が注目される。<

Maklakov A. A. and Russell Bonduriansky R. (2009)
Sex differences in survival costs of homosexual and heterosexual interactions: evidence from a fly and a beetle
Animal Behaviour 77: 1375 - 1379.

Maklakov 氏によると,カブトムシのように,雌同士で闘争し,しかもマウンティングする,という種の研究は珍しいようである。

なお,カブトムシの雄同士の配偶行動については,既に論文化されていた。

Iguchi Y. (1996)
Sexual behavior of the horned beetle,Allomyrina dichotoma septentrionalis (Coleoptera,Scarabaeidae)
Japanese Journal of Entomology, 64: 870-875.

関連論文とウェブサイト

井口豊(2001)カブトムシ雄の配偶行動と配偶者選択.昆虫と自然 36 (4): 44-46.

カブトムシ雄の角長と闘争頻度について
Flexible tactics in fighting frequency of small males in the Japanese horned beetle Trypoxylus dichotomus septentrionalis
カブトムシ雄の闘争頻度の柔軟戦術
DOI: 10.5281/zenodo.14134052

日本のカブトムシは Allomyrina か Trypoxylus か? 属名変更を巡って.
DOI: 10.5281/zenodo.14038791

2025年2月11日火曜日

諏訪湖に飛来したアメリカコハクチョウ

諏訪湖に飛来したアメリカコハクチョウ

諏訪湖に飛来したアメリカコハクチョウ Cygnus columbianus columbianus である。写真は, 2016 年 2 月 1 日のもので,遠くの湖面には氷が見られた頃だ。

諏訪湖のコハクチョウ

上の写真を,拡大したのが次の写真。

諏訪湖のアメリカコハクチョウ

数多く見られるコハクチョウ C. c. bewickii に混じって,写真左上に見える,くちばしが真っ黒に近い個体がアメリカコハクチョウである。体も,アメリカコハクチョウのほうが,やや大きめで,何となく堂々としているように見える。

幸運のシンボルなのか,最近は,このアメリカコハクチョウを目当てに訪れる人も多くなってきた。

安曇野市の犀川白鳥湖では,コハクチョウとアメリカコハクチョウの交雑らしい個体が見られるらしい。信濃毎日新聞デジタル 2025-02-11 に掲載された。

長野県 岡谷市,横河川の河口.コハクチョウ飛来地と男女共同参画センター(あいとぴあ).Google Map 航空写真.

飛来地の北側(地図で少し上)には,男女共同参画センター(あいとぴあ)と諏訪湖環境研究センターがある。

男女共同参画センターでは, 2009 年 8 月 23 日に,第 5 回信州ホタル保護連絡会が開催され,招待講演で,日本野鳥の会の林正敏さんが,オオワシのグルについて語った。

続いて,辰野町の外来種ホタル問題(辰野の移入(外来)ホタル 生物多様性の喪失へ)について,私が講演した。

井口豊 (2009) 移入ホタルの何が問題か? 辰野町松尾峡を例として. DOI: 10.13140/RG.2.2.19664.07689

当日の模様は,長野日報 2009 年 8 月 24 日 1 面で紹介された。

近年では,この移入外来種ホタル問題が高校入試でも取り上げられるようになった。

井口豊 (2026) 高校入試に出題された辰野町の移入養殖ホタル. Zenodo. DOI: 10.5281/zenodo.21950005