2021年11月20日土曜日

大鹿村の中央構造線

長野県南部,大鹿村で見られる中央構造線

中央構造線(Median Tectonic Line, MTL)は,九州から,四国,紀伊半島を通り,諏訪湖に達する大断層である。
大鹿村では,その断層が明瞭に観察され,中央構造線博物館は,その断層上にあり,2011年5月4日に訪問した。


次の写真は,博物館裏手に見える崖崩れ跡で,1961年の水害で出来たものである。


露出している白っぽい岩石(雪ではない!)は,いわゆる「鹿塩(かしお)マイロナイト」。大学地学の教科書にも出てくる,断層のずれによって変形・変質して出来た有名な岩石。

写真の崖崩れ跡を見て分かるように,この岩石はもろく崩れやすいが,この大鹿村近くで,この断層をトンネルで横切って通過させようと計画されているのが中央リニア新幹線である。

中央構造線に沿って,この大鹿村北方には,分坑峠があり,最近パワースポットとしてテレビでも取り上げられる。博物館にも,このパワースポットについて質問するお客さんたちが来ていて,少々びっくりした。

大鹿村以北の中央構造線の活動時期に関して,高木ほか(2019)によって,大鹿村の北北東,約 30 km に位置する伊那市・長谷の美和湖東岸で,10 万年前以降に活動したことが認められている。

参考文献
高木秀雄・杉山幸太郎・田村糸子・水野清秀・北澤夏樹・河本和朗 (2019)
長野県伊那市の中央構造線非持露頭における最新活動の認定
活断層研究 50: 1-12.