2024年3月2日土曜日

第9回信州ホタル保護連絡会(小谷村),無事終了

第9回信州ホタル保護連絡会(小谷村),無事終了

第 9 回信州ホタル保護連絡会は,2013 年 9 月 29 日に,小谷村・白馬乗鞍交流センター「ちゃんめろ」で開催された。

この連絡会は,開催地周辺のホタル生息状況やその保護を発表するとともに,県内各地のホタル保護団体の活動や問題点を語り合う場である。

信州ホタル保護連絡会の会議にしては珍しく,開催地・小谷村の松本久志村長が出席,挨拶された。

右が小谷村村長・松本久志さん,左が司会の長野ホタルの会・小林功さん。

もちろん,わが恩師であり,長野ホタルの会・会長の三石暉弥先生の講演もあった。志賀高原・石の湯ゲンジボタルの調査研究で,ずっとお世話になっている(特異なゲンジボタル生息地,志賀高原・石の湯)。

三石暉弥先生の講演。

会議の中で,いくつかのホタル保護団体から,ホタルがなかなか増えないとか,減ってしまって回復しない,という悩みが出た。それに対して,私と三石先生が主張したのは,根気良くホタルの生息状況を見守ってほしい,ということであった。

私も,辰野町のように,観光用だから,町おこしだからといって,安易に県外から外来種を移入し,それを増殖させないでほしいと要請した。(長野県辰野のホタル再考:観光用の移入蛍で絶滅した地元蛍 松尾峡ほたる祭りの背景にあるもの)。

さらに,長野県内各地のホタル保護団体共通の悩みも浮き彫りになった。

その一つは,若い人がホタル保護活動になかなか参加しない,というものであった。ほたる祭りだの,町おこしだの,観光や経済でメリットがあれば,さあ若者の出番だ,ということにもなるだろうが,そんなメリットが無ければ,ホタルを真っ当に保護していこうなどと,老若男女問わず,誰でもそう思わないのかもしれない。全国ホタル研究会や長野ホタルの会も高齢化?してしまいそうな予感もある。

もうひとつの共通な悩みというのが,クマの出現であった。これは,西日本ではあまり出てこない悩みかもしれないが,中部地方以北では,問題となる状況である。

私個人としては,ホタルもクマも守りたい,というのが,率直な気持ちである。

ホタルとは直接関係ないが,ショウリョウバッタモドキ (Gonista bicolor) は,長野県小谷村が,国内最高標高の生息地と言われる(丸山隆・井田秀行, 2022)。

関連サイト

長野ホタルの会

長野ホタルの会が創立20周年: 三石暉弥先生と生物多様性保全

第5回信州ホタル保護連絡会: 移入ホタルの何が問題か? 辰野町松尾峡を例として

第7回信州ホタル保護連絡会無事終了

第8回信州ホタル保護連絡会:松本市の有害外来種巻貝コモチカワツボ

長野県岡谷市で見かけたオンブバッタ

参考文献

丸山隆・井田秀行 (2022) 長野県小谷村に残る伝統的茅場の昆虫相 (続報): 2020 年と 2021 年の調査結果 信州大学教育学部附属志賀自然教育研究施設研究業績 59: 45-56.

2024年3月1日金曜日

英語で,以上,以下を間違えやすい:NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」

英語で,以上,以下を間違えやすい:NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」

NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」, 2019 年 2 月 12 日放送の話題である。

そこで,以上・以下,超(より多い)・未満を英語できちんと区別せよ,という。内容が語られた。

私も,以前,生物系の論文で指摘したことがある。

井口豊 (1994)
なぜ"more than"を誤訳するのか?
生物科学,46(3): 159-163.

more や less を使った比較で,正確な翻訳が出来ていないのである。要するに,不等号に等号を含むのか(≧),含まないのか(>),という問題である。

私が取り上げた例では,有名な出版社の大学入試問題解説でも間違えているものがあった。

数学や理科でなく,「英語」の問題だから, 1 以上でも, 1 より多い(大きい)でも,本質的な問題ではない,とも言える。しかしそれでも,納得できないような例もあった。

NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」,この 2 月 12 日放送分を聞いていて,以上・以下,超(より多い)・未満を英語できちんと区別せよ,との指摘が為されていて,さすが,この番組だなと思った。

「社会・経済・科学技術・文化など多岐にわたるニュース」を扱う番組だったから,当然と言えば,当然だろう。

ちなみに,分散分析(ANOVA)は, 2 群以上の平均の差の検定である。

ANOVA is used to compare the means of more than one group.

2 群の場合を t 検定と言う。これを誤解して, 2 群に適用されるのが t 検定, 3 群以上は分散分析,と説明する人がいる(大学教員でも)ので,注意しよう。

たかがラジオ講座と侮ってはいけない。聞き流しているだけでも,役立つ情報を得られることがある。実践ビジネス英語で聞いた統計学的な話題も,別ページに解説した。

これも,大学生でさえ(理系でも?),理解していない人が多そうな問題であった。

なお,四分位数に関しては,以下のページも参照してほしい。

2024年2月9日金曜日

ページ移転しました

北海道日高町で見かけたヒグマとダニの情報は,以下のサイトに移転しました。

となりのヒグマ山ありダニあり: 北海道日高町ポスター

2024年1月2日火曜日

第45回全国ホタル研究会は,鹿児島県霧島市



平成24年(2012年)の全国ホタル研究会 第45回大会は,鹿児島県霧島市・霧島国際ホテルで,5月18~20日に開催された。

霧島は,日本ジオパークにも選定されている。

霧島では,岩石のような無生物環境から,生物環境まで含めた地域全体,さらには地球の一部としての私たちの存在を実感してもらうため,ここ霧島の環境を学び親しんでもらおうと努力している。

現在,国内には20ヶ所の日本ジオパーク選定地域があり,そのうち,

洞爺湖有珠山,糸魚川,島原半島,山陰海岸,室戸

の5ヶ所が世界ジオパークに選定されている。

参考:
霧島ジオパーク・ホームページ
日本ジオパークネットワーク・ホームページ


大きな地図で見る

鹿児島のホタル成虫の発生は,長野県より1ヶ月も早い。

大会発表者は,以下の通り。

霧島市立霧島中学校ホタル部 「ホタルの舞う里 郷土「霧島」を目指して」
駅前ホタル会 「駅前ホタル会の活動について」
大村 俊朗・幸野 昌廣 「ゲンジボタルの水路にカンレイシャを使用してみて」
王子町ホタル愛好会 「地域連携による「ホタルの里」作りについての活動報告」
村上 伸茲 「ホタル移植指針とホタル再生・保護活動」
大場 信義 「東アジアに分布するスジグロベニボタル属ホタルの外部形態・色彩斑紋変異と生活環境」
大内 紘三 「資料、文献にみるヘイケボタルの化性とゲンジボタル」
後藤 好正 「横浜市におけるゲンジボタルの明滅周期について~在来個体群と移入個体群の比較~」
井口 豊 「長野県辰野町の在来ゲンジボタルの発光パターン」
三石暉弥 「400年余の歴史を刻む善光寺用水の改修とホタルを主体とした生き物の保全」
私の発表については,以下のサイトを参照。

井口豊 (2011)
長野県辰野町の在来ゲンジボタルの発光パターン
全国ホタル研究会誌 44: 1-3.

余談だが,三石先生は,長野ホタルの会会長であり,私の高校時代の恩師でもある。


写真左が私,井口豊,右が,三石暉弥先生。

三石先生のゲンジボタルの保護活動や研究に関しては,以下のウェブサイトに詳しく書いた。

2023年12月31日日曜日

2021年11月20日土曜日

大鹿村の中央構造線

長野県南部,大鹿村で見られる中央構造線

中央構造線(Median Tectonic Line, MTL)は,九州から,四国,紀伊半島を通り,諏訪湖に達する大断層である。
大鹿村では,その断層が明瞭に観察され,中央構造線博物館は,その断層上にあり,2011年5月4日に訪問した。


次の写真は,博物館裏手に見える崖崩れ跡で,1961年の水害で出来たものである。


露出している白っぽい岩石(雪ではない!)は,いわゆる「鹿塩(かしお)マイロナイト」。大学地学の教科書にも出てくる,断層のずれによって変形・変質して出来た有名な岩石。

写真の崖崩れ跡を見て分かるように,この岩石はもろく崩れやすいが,この大鹿村近くで,この断層をトンネルで横切って通過させようと計画されているのが中央リニア新幹線である。

中央構造線に沿って,この大鹿村北方には,分坑峠があり,最近パワースポットとしてテレビでも取り上げられる。博物館にも,このパワースポットについて質問するお客さんたちが来ていて,少々びっくりした。

大鹿村以北の中央構造線の活動時期に関して,高木ほか(2019)によって,大鹿村の北北東,約 30 km に位置する伊那市・長谷の美和湖東岸で,10 万年前以降に活動したことが認められている。

参考文献
高木秀雄・杉山幸太郎・田村糸子・水野清秀・北澤夏樹・河本和朗 (2019)
長野県伊那市の中央構造線非持露頭における最新活動の認定
活断層研究 50: 1-12.

2018年10月10日水曜日

北海道・新函館北斗駅,窓ガラスのデザインは「赤とんぼ」

北海道・新函館北斗駅,窓ガラスのデザインは「赤とんぼ」

2018 年 7 月 21 日に,北海道・稚内市で,第51回全国ホタル研究会 北海道稚内・豊富大会が開催された。

私の発表は以下のとおりであった。

井口豊 (2018) ホタルの文化昆虫学研究史 ― 全国ホタル研究会誌を例として ―.全国ホタル研究会誌 51: 6-8. PDF

北海道新幹線で行き,終点で下車したところが, JR 新函館北斗駅である。駅内および周辺の様子は,函館市公式観光情報の北海道新幹線・新函館北斗駅、徹底ガイドを見てほしい。

下の写真が,その駅の出入り口である。

JR新函館北斗駅

ガラス中央付近を見て欲しい。

JR新函館北斗駅の窓ガラスの赤とんぼ模様

赤とんぼ,赤とんぼ・・,赤とんぼの群飛なのである。ここだけでなく,2階へ上がって改札内にある窓ガラスにも,赤とんぼが描かれている。

駅内 1 階通路にあるイベントスペースを覗くと,この理由がすぐ分かる。

JR新函館北斗駅イベントスペース,三木露風の童謡「赤とんぼ」ゆかりの地の解説

童謡「赤とんぼ」の作詞者・三木露風ゆかりの地がここなのだ。

三木露風と言えば,生誕地は,兵庫県たつの市であり,赤とんぼは,そこのイメージキャラクターになっている。たつの市ホームページを見ると,それがよくわかる。これについては,高田兼太のイトメン・チャンポンめん論文も是非読んで欲しい。たつの市にあるイトメン株式会社のキャラクターが,「赤とんぼ」に由来することを論じている。

高田兼太(2018)
食品パッケージに見られるレアな昆虫の事例Ⅱ
イトメン株式会社の「チャンポンめん」
伊丹市昆虫館研究報告 第6号

新函館北斗駅には,外国人旅行者も,かなり多く見られた。しかし,残念なことに,この赤とんぼ模様に気づく人は,ほとんどいないようだ。JR北海道(特に,北海道新幹線)も,北斗市も,これをもっと宣伝しても良いと思う。

関連ページ