NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」, 2019 年 2 月 12 日放送の話題である。
そこで,以上・以下,超(より多い)・未満を英語できちんと区別せよ,という。内容が語られた。
私も,以前,生物系の論文で指摘したことがある。
井口豊 (1994)
なぜ"more than"を誤訳するのか?
生物科学,46(3): 159-163.
more や less を使った比較で,正確な翻訳が出来ていないのである。要するに,不等号に等号を含むのか(≧),含まないのか(>),という問題である。
私が取り上げた例では,有名な出版社の大学入試問題解説でも間違えているものがあった。
数学や理科でなく,「英語」の問題だから, 1 以上でも, 1 より多い(大きい)でも,本質的な問題ではない,とも言える。しかしそれでも,納得できないような例もあった。
NHKラジオ・高校生からはじめる「現代英語」,この 2 月 12 日放送分を聞いていて,以上・以下,超(より多い)・未満を英語できちんと区別せよ,との指摘が為されていて,さすが,この番組だなと思った。
「社会・経済・科学技術・文化など多岐にわたるニュース」を扱う番組だったから,当然と言えば,当然だろう。
ちなみに,分散分析(ANOVA)は, 2 群以上の平均の差の検定である。
ANOVA is used to compare the means of more than one group.
2 群の場合を t 検定と言う。これを誤解して, 2 群に適用されるのが t 検定, 3 群以上は分散分析,と説明する人がいる(大学教員でも)ので,注意しよう。
たかがラジオ講座と侮ってはいけない。聞き流しているだけでも,役立つ情報を得られることがある。実践ビジネス英語で聞いた統計学的な話題も,別ページに解説した。
これも,大学生でさえ(理系でも?),理解していない人が多そうな問題であった。
なお,四分位数に関しては,以下のページも参照してほしい。
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四分位偏差は,どのように使われるか?変動係数の話題も含めて
四分位偏差とは何か: 変動係数と長野県岡谷市「きなこ石」 の話題も含めて
DOI: 10.5281/zenodo.14328888