2013年12月4日水曜日

変色したアマガエル

変色したアマガエル

2013 年 10 月 21 日に,岡谷市今井のコンクリート上で,ニホンアマガエル Hyla japonica を見つけた。最初は,小石かチューインガムの捨てたものと思った。

しかし,近づいてみると,灰褐色に変色したニホンアマガエルだった。

日本に広く分布し,人目にも付きやすい,いわゆる「アマガエル」である。通常は,青緑色をしているが,土,枯葉,コンクリートなどの上では,このような色に変色し,体の模様も明瞭になってくる。

お見事!と言いたいところだが,コンクリート上では少々目立ちすぎの感がある。やはり,人工物の色に似せるのは至難の業なのだろうか?研究課題である。

2013年6月14日金曜日

全国ホタル研究会・第46回大会(福岡県北九州市)無事終了

全国ホタル研究会・第46回大会(福岡県北九州市)無事終了

全国ホタル研究会・第46回大会は,福岡県北九州市・北九州国際会議場で, 6 月 7 日(金)~ 9 日(日)に開催された。

私の発表は,長野の志賀高原におけるゲンジボタル Nipponoluciola cruciata (以前は Luciola cruciata) の成虫出現個体数の変化についてであった。

井口豊 (2013)
志賀高原・石の湯におけるゲンジボタル成虫の出現パ ターン
全国ホタル研究会誌 46: 26-28.

様々な専門的な研究発表があったが,その合間に行われた久米島ホタレンジャーの子供たちによる人形劇「山のくみ汁」も興味深かった。通常の研究会や学会では,なかなか見られないものである。

この大会で,福井工大の草桶秀夫氏らが,辰野のゲンジボタル DNA 分析結果を改めて示し,松尾峡では関西からの移入ホタルが養殖されていると結論づけた。

木村和裕・日和佳政・草桶秀夫 (2013)
ゲンジボタルの遺伝子解析による人為的放流か自然発生かの判別法
全国ホタル研究会誌 46: 29-41.

その上で草桶氏は,ホタル養殖に関して,全国の自治体に情報公開を呼びかけた。

ホタルを移入した場合,あるいは,移入であることが判明した場合,少なくとも役場や役所など自治体が関わるホタル飼育事業であるならば,移入元を公表するのが自治体の責務だ,と草桶氏は訴えたのである。私も全く同意見である。

関連サイト

2013年5月28日火曜日

日本のカブトムシは,AllomyrinaかTrypoxylusか?・・・未だに続く混乱・・・


生物科学研究所のウェブ解説“カブトムシ雄の角長と闘争頻度について”でも少し触れたが,海外では,日本のカブトムシの属名に関する議論がいまだ続いているらしい。

BeetleForum.Net
Genus Allomyrina vs. Trypoxylus

現在,少なくとも日本国内では,日本のカブトムシの属名には,Trypoxylusが使用されているし,私の最近の論文でもそうである。しかしながら以前は,これに対し,Allomyrinaが使用されてきた。

しかし,このAllomyrinaの使用には,今でも反対する分類学者がいる。Ratcliffe博士もその1人である。

Ratcliffe B.C. (2008) Book Review. Atlas of Japanese Scarabaeoidea. Volume 2. Phytophagous Group I. Coleopt. Bull. 62(1): 63-64.

彼は,この書評で,
Trypoxylus is a junior synonym of Allomyrina.
だと主張している。

実は,数年前に,私が彼からメールをもらったときも,彼がかなり厳しい調子で,同様なことを主張されていた記憶がある。

そもそも,事の発端は,私の知る限り,公式には,三宅義一(1998)が甲虫ニュース123でTrypoxylusの推奨を言い出したことにあるらしい。

ところが,この甲虫ニュースの論文は,分類学上で重要な変更を伴う内容にも関わらず,全く日本語だけ書かれていた。しかもこの雑誌は,どちらかというとマイナーな雑誌なのである。もちろん,甲虫ニュースは全国規模で読者がいる和文誌(ニュースレター)なのだが,それでも,世界規模で言えば,マイナーな雑誌であり,外国人では読む機会も少ないのではないかと思われる雑誌であった。

野村周平氏が,月刊むし339号(1999)において,このようなことは英語で書くべきだと苦言を呈して(警告して?)いたが,全くそのとおりであり,そうしなかったことが,少なくと海外では現在でも, AllomyrinaTrypoxylusかと言った混乱を生んでいるように思える。