2011年8月18日木曜日

辰野町なんと下品な町役場



最近発行された日本甲虫学界の新和文誌「さやばね」に高田兼太による興味深い論文(高田,2011)が発表された。

文化昆虫学観点からホタルを考察したものだが,私が興味深く思ったのは,カブトムシとホタルを比較して論じた点である。

両者とも日本人は非常に馴染み深い虫であり,その人気度は,少なくとも甲虫類の中では群を抜いている(Takada, 2010)。しかし,高田(2011)は,ホタルが文学作品,特に,俳句に多く登場することに注目した。

その結果,カブトムシは大衆文化や趣味的文化に重要な役割を果たしているが,ホタルは,より上位の文化に影響を与える虫である,と結論している。

なお,ホタル類をさらに種別に分けて,その注目度を調べた高田による論文も最近出版されている(Takada, 2011)。

では,ひるがえって,移入ホタルで観光事業を展開する辰野町役場の例を見てみよう。

在来ゲンジボタルを絶滅させ,ヘイケボタルの生息地を駐車場や遊具施設と化し,見栄えのする関西系移入ホタル鑑賞で観光事業。しかも,ホタルを保護し増やしてきたと盛んに宣伝するが,移入して増やしたことは一言も言わず,ホタル保護金と称する鑑賞料を徴収する。観光客に言わないことが地域のためになるなら良いじゃないか,との声も聞く。
http://www.ab.auone-net.jp/~biology/Tatsuno.htm

ホタルを愛でる日本人の心を打算的に利用している辰野町役場,なんと下品な文化を持つ役場であることか。

参考文献

Takada, K.(2010) Popularity of different coleopteran groups assessed by Google search volume in Japanese culture - Extraordinary attention of the Japanese to "Hotaru" (lampyrids) and "Kabuto-mushi" (Dynastines) (cultural entomology). Elytra 38: 299-306.

高田兼太 (2011) 甲虫と人間の文化 - ホタル科の文化昆虫学概説. さやばねNS 2: 25-31.

Takada, K.(2011) Popularity of different Lampyrid species in Japanese culture as measured by Google search volume. Insects 2, 336-342. http://www.mdpi.com/2075-4450/2/3/336/pdf