2011年6月20日月曜日

Intrasexual behavior in beetles カブトムシ雌の同性間配偶行動

Intrasexual behavior in beetles カブトムシ雌の同性間配偶行動

以下の生物科学研究所の研究解説ページも参照。

次の論文の解説である。

Iguchi Y. (2010)
Intrasexual fighting and mounting by females of the horned beetle Trypoxylus dichotomus (Coleoptera: Scarabaeidae)
European Journal of Entomology, 107: 61-64.

いわゆる,同性間配偶行動 (intrasexual or same-sex mating behavior) である。


Fig. 1. Intrasexual or same-sex mating behavior in female beetles

雄の同性間マウンティングについては,雄が相手を雌と間違えるということもあるだろう。しかしながら,雌の同性間マウンティングについては,その理由が良く分かっていない。

今回の研究結果から,雌の同性間マウンティングは,小さな雌が,大きな雌との闘争を避け,エサを得るための代替的手段である可能性を示唆している。

同性間の行動研究の進展をまとめたレビュー論文としては,以下のものが注目される。

Bailey N. and Zuk M. (2009)
Same-sex sexual behavior and evolution
Trends in Ecology and Evolution 24: 439-446.

この中で,動物における "Homosexual" の定義が以下のように記されている。

Homosexual: in animals, this has been used to refer to same-sex behavior that is not sexual in character.

Bailey 氏から頂いたメールによると,雌が代替的手段 (alternative tactics) を採ることが,ますます明らかになりつつある,とのことである。

また,甲虫類の雌による同性間マウンティングに関しては,以下の論文が注目される。<

Maklakov A. A. and Russell Bonduriansky R. (2009)
Sex differences in survival costs of homosexual and heterosexual interactions: evidence from a fly and a beetle
Animal Behaviour 77: 1375 - 1379.

Maklakov 氏によると,カブトムシのように,雌同士で闘争し,しかもマウンティングする,という種の研究は珍しいようである。

2011年6月15日水曜日

中国・四国地方から九州へ:全国ホタル研究会(岡山県鏡野町)発表を兼ねて


2016年7月11日追記

八戸北高校の生徒が,全国ホタル研究会第44回岡山県かがみの大会で発表したゲンジボタルDNA研究は,COP10生物多様性交流フェアでも同校生徒によって発表された。

2016年7月8日に始まったTBSの新しいドラマ・神の舌を持つ男,第1話「殺しは蛍が見ていた」のホタル関連部分は,私が監修をしたが,その中で,主人公らの後ろに設定されたホタル研究のポスターのひとつが,この八戸北高校の研究成果である。これに関しては,私の研究室の解説ページ参照。

ドラマ神の舌を持つ男・殺しは蛍が見ていた,辰野町がモデル

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2011年6月15日

10日,瀬戸大橋渡って四国・香川県へ。雨降り出す。

橋を渡り終えると眼前に,讃岐富士(飯野山,いいのやま),美しい!山の上部は,有名な讃岐岩(サヌカイト)で出来ている。



高松付近の昆虫調査をしようと思ったが雨で出来ず,残念。

11日,岡山県鏡野町上齋原文化センターで開催された全国ホタル研究会第44回岡山県かがみの大会に出席した。


長野県の志賀高原石の湯と辰野町松尾峡におけるゲンジボタルの羽化不全について発表した。

井口豊 (2011)
ゲンジボタルの羽化不全について(Field observations on adults with deformed elytra in the Japanese firefly Luciola cruciata
全国ホタル研究会誌 44: 1-3.

このテーマに関心を持ち調べている人が多いようだ。ぜひ結果公表してほしいと,お願いする。外国雑誌にホタル論文を投稿した時,日本語文献ばかりと皮肉られた経験から,ぜひ英語でもホタル論文書いてほしいと願う。

村上伸滋氏がホタル移入問題について発表し,役所にこの問題への対策を求めても無駄だ,と述べた。長野県辰野町での観光用ホタル移入政策で,在来ホタルが滅びつつある問題でも同様な現状を実感している。一昨年,朝日新聞オピニオン欄でも村上氏は,この問題を指摘した。保全生態学の立場から,ホタル移入問題を論じた彼の以下の論文も非常に参考になる。

村上伸茲(2011)
ホタル移植指針課題への取り組み — 市民活動団体への呼びかけのために—.
全国ホタル研究会誌 44: 27-32.

東日本大震災後の復興過程で,ホタルを含め生態系が人為的移入種だらけになることへの危惧も表明される。専門家より一般人の意識を高める必要性が指摘される。広島県の環境カウンセラー,吉川秀幸氏がこの問題に懸念表明。

八戸北高校の生徒が,COP10生物多様性交流フェアでゲンジボタルDNAの研究発表した成果について,本大会でも発表した。

畠山嵩史・米内山友希 (2011)
「全国SSHなどによる「ゲンジボタルコンソーシアム」について
全国ホタル研究会誌 44: 49-53.

全国ホタル研究会後,鏡野町の山を散策,遠くにミンミンゼミ?諏訪地方では通常7月下旬から8月上旬に初鳴き。他の種か?コナラ多い。さすが,クワガタやカブトムシのメッカ。
12日,九州南部へ移動。

途中,豪雨!熊本付近で新幹線6時間近く立ち往生,鹿児島で昼食予定が狂う。でも,九州新幹線弁当「桜咲く」おいしかった!


新幹線が立ち往生中,女性パーサーの皆さんの温かな気遣いに救われる,大感謝!
その一人に,帰りの博多駅構内で会い,互いにびっくり!改めて御礼を言う。

13日早朝の桜島。雲がかかって全景見えず,残念。